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賢い患者になりましょう |
私は、母が看護婦です。小さい頃から医療を身近に感じて生活していました。風邪をひいて食べられないと点滴をしてもらい、どこかが痛いといっては痛み止めを飲むなど安易に薬に頼る生活を長年続けていました。また、薬で病気が治ると思ってもいました。もともと片頭痛持ちなので薬に随分と助けられてきたのは確かです。
ですが…妊娠をきっかけに変化がありました。私は生理不順で10代の頃からホルモン剤を使うなどの治療をしてきました。子どもが出来ないかもしれないという不安はいつも持っていました。なかなか妊娠しなかったので、不妊治療のための検査をした矢先の妊娠でした。妊娠は病院と深い関わりはありますが、病気ではありません。もちろん、妊婦は患者でもありません。だから、妊娠の継続や出産には医療の介入をできる限りして欲しくないと考えました。そこで、薬に頼らないで生活したいと考えるようになったのです。
そのために、自らの本能を充分に活性化させること=自然治癒力を高めようと生活を変えていきました。水、食べ物、生活環境、そして医療とのつきあい方について、本を読むなど情報収集をし、実践していきました。また、社会活動で出会う医療関係者とのネットワークによって医療の現状を知り、さらに知識や情報も得られるようになりました。
心と体、両方が健康であることが自分らしく生きることにつながっていくと私は考えます。妊娠・出産・育児の経験から私らしく生きるためには医療と上手につきあうことが大切だと感じています。また、自分自身の体に責任を持つことが私らしく生きるためには必要だと思っています。そのために、医療に振り回されるのではなく、自ら医療を選択し、決定する力を身につけていく必要性を感じています。
インフォームド・コンセント
「医者にかかる10ケ条」をご存知ですか?
インフォームド・コンセント(医師による説明と患者の理解・選択にもとづく同意)に患者が主体的に関わることを願って、1998年に厚生省「患者から医師への質問内容・方法に関する研究」研究班から発表されました。最近の病院では、患者に対して「〇〇様」と呼びかけたりするなど、患者を大切に、尊重するようになってきました。また、カルテの開示など積極的な情報公開もされるようになってきました。しかし、まだまだ医師におまかせで医療を受けてしまうことが多いのではないでしょうか。と言うより、医師に対しての気遅れや言いにくさなどからおまかせになってしまうのが現実なのかもしれません。
医療不信は、度重なる医療事故が報道されるたびにふくらんでしまいます。しかし、その不信感は自分の思う通りにいかなかった結果から生み出されているかもしれません。患者として後悔しないために、受ける医療を十分理解した上で自己決定することが必要ではないでしょうか。
具体的なインフォームド・コンセントの方法として、下記の項目を受診の際に利用することをお勧めします。
医者にかかる10ケ条 あなたが、“命の主人公・体の責任者”
この10ヶ条は小冊子になって「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」によって発行されています。巻末には実践編として、検査・治療・薬・入院など具体的な質問内容がまとめてあります。1冊100円+送料で注文できます。問い合わせは、 「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」 まで
セカンド・オピニオン
セカンドオ・ピニオンとは、ほかの情報も知ることです。例えば、電話相談や医療情報誌、患者会や主治医以外の医師の意見を聞くことです。患者自身が診断や治療方法を確認し、選択すること、つまり自己決定で進める医療は、自分の生き方やライフスタイルの中で治療をどうするかを考えましょうということです。そのためには、判断できる十分な情報が必要になります。まず大切なのはインフォームド・コンセントですが、その不足を補うためにもセカンド・オピニオンを積極的に利用しましょう。主治医以外の意見を聞くときには、カルテを持っていくようにしましょう。カルテには検査の結果や服用した薬、今までの病状など必要な情報がたくさんかかれています。また、あなたの治療に対する姿勢も感じてもらえると思います。今時、「私の言うとおりにすればいい」なんて言う医者はかなりの勉強不足と言えます。患者からの働きかけが医者を育て、受ける人の身になった医療となることでしょう。医師から「国民のレベル以上の医者は育たない」なんて言われないように賢い患者になりましょう。